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監督が愛した紀北町の「渡利かき」

「千年の愉楽」ロケ終盤、
高良健吾演じる半蔵がオールアップしたその日、
昼に撮影予定のシーンが全て終了した。
あとは、明日の年老いたオリュウのシーンを残すのみ。
空いた時間を使って、監督と高良が
三重県庁にご挨拶に出向くことになった。

その日の夜は、須賀利の民宿で、キャストスタッフ全員で
クランクアップの前祝いとして軽く乾杯することにしていた。

「17時までには、戻って来てくださいね」
何度も監督に念を押したが、待てど暮らせど監督は戻ってこない。
しびれを切らして電話をすると、とうに三重県庁は出発したという。
「今、どこにいるんですか!?」
「いいから先に始めてろ」
「他のキャストの方たちもみんな待ってるんですよ、
 あと何分で到着するんですか」
「うるせえ!」
「今、どの辺りにいるかだけでも、教えてください」
「ああ、もういいから、先始めてろって」
なかなか口を割らない監督。電話が切れた。
せっかく、みんなで「お疲れ様でした!」の乾杯をしたかったのに…。
やむなく、先にこじんまりと宴を開始させた。

と、まもなく監督と高良が到着する。
えもいわれぬ上機嫌な表情の監督。
「あ〜、最高の牡蠣、食べて来た!」といきなり白状する。
どうやら、須賀利に戻る道すがら、白石湖ほとりの養殖場に立ち寄り
名物「渡利かき」をその場で剥いてもらってたらふく食べて来たという。

「いや、ほんとにここの牡蠣、絶品だよ!」と
スタッフの白い目に気付いてか気付かないのか、
ますます上機嫌の監督だった。
白石湖は、海水と淡水が入り交じり、
この絶妙のバランスが、ほかにはない甘みと香りの牡蠣を育てるのだという。

あのとき、キャストたちを待たせても監督が食べ続けたという
幻の牡蠣を求めて、今回、新宮から東京へ戻る道すがら
白石湖ほとりの養殖場「畦地水産」さんに立ち寄った。

白石湖の湖岸近くに、養殖生け簀が広がる。
ホタテの殻に付着した牡蠣がぶら下がっている。
大きな牡蠣をいくつか剥いて頂いて、みかん色の地元のカボスを絞って頂いた。

監督が、なかなか戻って来なかった訳がやっと理解できた。
甘く爽やかに鼻に抜ける潮の香り。
東紀州の地が育んだ「渡利かき」、今回は井浦、高良らも
新宮への移動前に立ち寄って堪能したという。
確かに、絶品である。

畦地水産さんは、監督の事を鮮明に憶えていてくださった。
「なんだか、ちょっとぶっきらぼうだったんだけれども
 美味しい美味しいって、たくさん召し上がってくださって」

NEC_0175.JPG
 
缶ビールと牡蠣を両手に持った、食いしん坊の監督の満足顔。
美味しいものが大好きな監督、
本当に美味しくて、本当に大満足していたのだった。
畦地水産さん、ありがとうございました。
http://azechi3.jp/

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2013年02月13日 12:53に投稿されたエントリーのページです。

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