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2011年07月 アーカイブ

2011年07月01日

アフレコ無事終了

「三島」も「海燕」も、着々と編集が進行中。
キャタピラーに続き、編集はジェイフィルムの坂本さん。

「三島」の編集が佳境にさしかかっていた時、
すばらしいタイミングで、ある曲と出会った。
散っていく三島と森田の、心のつぶやきが、
どこか、今も世の中の空気に漂い流れているような
でも、そこには何も見えないような、
そんな透明感のあるサウンドだ。
ああ、映画って、すごく立体的な表現だなあ、と改めて思う。

「三島」に続いて、「海燕」の編集にとりかかる。
同じ監督の頭の中から続けざまに出てきたものとは思えない、
しかも、三島アップからわずか二週間後にインしたとは思えない、
まったく異質で不思議な手触りだ。
でも、どこかかつての若松作品を彷彿とさせる世界観や風景。
そして、くすっと笑ってしまう、監督のオチャメな演出の数々。

海燕の音楽は、ジム・オルーク。
連合赤軍以来のコラボだ。
先日の編集にはジムも同席。
久しぶりの再会を懐かしみつつ、映像の手触りを共有。
この映像に、ジムの独特な音が混じり合ったら…と想像するだけで
ゾクゾクとしてくる。

さて、昨日は、シネマサウンドワークスにてアフレコ。
いつもお世話になっている吉田さんと。

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久しぶりに、楯の会の5人が集う。
ああ、怒涛の撮影だったなあ、と
つかの間の同志だった彼らの顔を見ながら、改めて思い返した。
一つ一つ、作品の完成に向けて、前に進んでいます。
どうぞ、お楽しみに!

2011年07月19日

響き渡る龍笛の音

7月16日(土)、ウルトラヴァイブさんのスタジオにて
三島の作中で流れる雅楽のレコーディングを行った。

雅楽について、詳しくはわからないけれど
限りなく研ぎ澄まされた、繊細な音の中に
静けさと激しさが裏になり表になり
絡まり合っているような、不思議な音色。
三島の精神世界が音になって立ち現れてくるようだ。

シンプルにきこえるように感じるが、
実はかなりの人数による、交響楽なのだ。
いろいろな音色が幾層も重なり合い
響き合って生まれる。

ダビングは来週。
音楽が、映像と出会う瞬間が、楽しみだ。

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※写真撮影:ウルトラヴァイブ 高護氏


2011年07月21日

フリージャズと三島の心の涙

昨日、7月20日は、六本木のスタジオにて、
三島の劇中音楽のレコーディング。

ミュージシャンは板橋文夫氏。
若松監督が、何年も前に、足利市で行われたライブに行き
その音にすっかり惚れ込んだという人だ。
三島と若者たちの心の奥底に潜む何かを
音として紡ぎ出してもらうならば、板橋さんしかいない!という
監督のラブコールで実現したコラボレーション。

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レコーディングが始まった。
板橋さんの指が、身体が、鍵盤の上で踊る。跳ねる。

焦り、孤独、希望、不安、失望、決意、哀しみ。
吹く風、雲の浮かぶ空、揺れる草木、散っていく花びら。
苛立ちのうめき声。かき消されていく叫び声。
心の中を吹き抜けていく風。心の中で流れていく涙と血。

いろいろな風景が、音の中に立ち現れては消えていく。
流れたり、ぶつかったり、叫んだり、つぶやいたり、
板橋さんの指から、怒涛のように音楽が紡ぎ出されて、
気付いたら、4時間が経過していた。

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燃焼しきった笑顔の板橋さんと若松監督。

2011年07月25日

三島ダビング終了

昨日、今日と、2日間にわたり、
シネマサウンドワークスにて「三島」のダビングを行った。

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三島の息づかい、衣擦れの音、風の音、
遠くに響く怒号、ため息、過ぎゆく電車の音。
そして、雅楽の音と板橋さんのピアノの音。

改めて思うのは、映画とは実に何層にも重なった表現だということ。

多くは語らず閉ざした口元のかすかな震え、
額を流れていく汗、どこかできこえる小さな暮らしの音、
淡い光に照らし出された柔らかな表情の、
すぐ背後に迫る深い闇。

言葉で説明のつかない、それらの表現の渦を
見つめ続けた2日間だった。

今も、心の中で、ピアノが鳴り響いて、三島の絶叫が耳を離れない。

音と映像が出会うというのは、こういう事なのだ。

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