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若松孝二に安吾賞

昨日、新潟市の発表にあったように
この度、若松孝二監督に、安吾賞が贈られる。

これは生前から決まっていた事で、
9月に受賞の知らせを聞いた監督が、
「文学的でない僕に、安吾賞って不思議だなあ。
 でも、堕落論だろ。戦後のあの時代に、あんな事言って
 世の中をあっと驚かせた安吾さんの賞を、
 もらえるなんて、嬉しいね」と子どもみたいな笑顔を
浮かべていたのを思い出す。

戦後、それまでの価値観が崩壊した中で、
理性と理屈で良いと考えてた諸々から
全て崩れ落ちて、そこから出発だ、と考えた坂口安吾。
方や、もとヤクザ、拘置所に半年、といった前歴を持ち
「時間は守る」「掃除をする」「ご飯を残さない」
「うどんをよそう時は小皿を鍋の縁より下に」……などなど
挙げたらキリがないほど、小さな一つ一つを大切に
誠実にやることを重んじて、地道な積み重ねを続けて来た若松孝二。

逆といえば逆だし、何か通じるといえば通じるのだ。

いずれにしても、監督は、「素直に嬉しいよ。
安吾賞受賞のお祝いと僕の喜寿祝い、一緒にやろうか。
いや、まずは家でモツパーテーするか」等々
楽しい事をあれこれ考えて、心弾ませていた。

その楽しい瞬間を思い出し、
監督は、どこまでもシンプルで、それ以上でもそれ以下でもないところを
実にそのままさらけ出していたなあ、と思い返し、
だからこそ、監督の背中を見つめ続けていた井浦新が
さらに満島真之介が、ああして、多摩映画祭でも
監督の事を、嬉しそうに、大切そうに、話しをするのだろうと
改めて思うのである。

安吾賞の都内での発表式は12月20日。
監督と関わりも深く、新作『千年の愉楽』でも
礼如役として若松組の要の存在感を発揮した
佐野史郎が登壇する。

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2012年11月20日 18:52に投稿されたエントリーのページです。

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